・大手プリンターブランドと元スター選手のパートナーシップ
・重要な顧客となりうる学校にアプローチするため、選手と一緒に、全米各地の学校にプリンター等を贈呈する社会貢献活動を共に行う
・現役中に大学で学位を取得し、引退後は解説業や実業家として活躍。まさに文武両道のお手本ということで学校狙いの選定
元NBAスター選手、オニールをキャンペーンに起用した意図
大手プリンターブランドのエプソンが、アメリカにおいて元NBAスター選手シャキール・オニールとパートナーシップ契約を締結した。
1990年から2000年前半にかけてNBA史上に残るインサイドプレーヤーとした活躍したオニールは、現役時代からユーモア満点のキャラクターでコート内外においてスポットライトを浴びてきた。また、オフシーズンの間、大学に通い続けて学位を取得するなど勉強熱心かつ頭脳明晰であり、自身のニックネームであるシャック(Shaq)の名前を冠した様々な製品のプロデュースに現役時代から携わってきた。
特に引退後は解説業を軸にTV業界で活躍すると共に、実業家としても様々なビジネスを手がけ、複数の企業とパートナーシップ契約を結んでいる。例えば3月には大手ピザチェーンのパパ・ジーョンズのアンバサダー就任に加え、同社の取締役会の一員となり、アトランタ近郊の9つの店舗への投資を行うことも明らかになっている。彼が広告塔としてだけでなく、ビジネスパーソンとしても高い評価を得ていることを示す典型的な契約だ。
今回、エプソンがオニールと共同で行うのは、“エコタンク”と名付けた従来に比べて大容量のインクカードリッジに対応したプリンターのプロモーション。また、これまでに比べて少ないインクで印刷できることで、経済的かつカードリッジの使用量を減らして環境に優しいエコなプリンターであることを特徴としている。
製品のプロモーションに加え、社会貢献活動も一緒に実施
さらに同社は、製品のPRだけでなく“エプソン・アンド・シャック・ギブバック(Epson and Shaq Give Back)”という同社のプリンター、スキャナーなどを全米各地の学校に贈呈するプロジェクトを実施する。
これは社会貢献活動であると共に、自社製品の効果的なプロモーションとなっている。色々なところでペーパーレス化が進んでいる現代社会であるが、その中でも学校は、まだまだ紙を使うことが多い代表的な場所の1つ。エプソンにとっては、お得意様となる可能性が十分にある相手と接点を持てるのは大きな利点だ。
また、キャンペーンに起用するオニールは冒頭で紹介したように高いレベルで文武両道を実現。さらにユーモア溢れるキャラクターで幅広い世代に愛されており、まさに学校向けの人物であるところもしっかり考えられている。オニールは単純な訴求力でいったらすでに引退しており旬の人物ではないかもしれない。しかし、今回のエプソンは話題性に固執しないプロモーションの本質としっかり合致した人物を選んでおり、だからこその効果的なPRが期待できる代表的な例だ。