・米保険会社とプロスポーツリーグとのパートナーシップ。社会貢献活動を頑張る選手を表彰するアワードの冠スポンサーになり、アワード告知のために、積極的なプロモーション活動を展開。
・ファンはSNS上で選手への投票を行い、得票数の多かった選手が支援する財団に企業が寄付金を送る。
・プレーオフのテレビ中継の合間にアワードが紹介され、アワードの認知向上、および、参加者の獲得に繋げる。
・オフシーズン中のメインイベントであるドラフトでもアワードの告知を実施。


ネイションワイドが、ウォルター・ペイトン賞の冠スポンサーを務める理由

北米アメリカンフットボールのNFLにおいて、リーグ、チームと共に自ら財団を設立するなど熱心な社会貢献活動を行なっている選手たちは少なくない。彼らは例えシーズン中であっても貧困層や、難病に苦しむ人々へのサポートのためのチャリティーイベントを開催したりしている。

これらの活動は、メディアにおいて試合結果などフィールド上の出来事のように報じられることはない。一方で、NFLはリーグとして彼らの活動を重要視して功績を讃え、積極的に支えている。その代表的なものが、熱心に奉仕活動を行うなど地域社会にポジティブなインパクトを与えている選手を毎年表彰するウォルター・ペイトン賞だ。


この賞は1970年から始まり、元々はNFLマン・オブ・ザ・イヤーという名前だった。それが、殿堂入りを果たすなどNFL史上に残る名選手として活躍すると共に熱心な社会貢献活動を行なっていたウォルター・ペイトンが1999年に亡くなった後、同年から彼のこれまでの活動を称える形で賞の名前につけている。正式名称は『ウォルター・ペイトン・NFL・マン・オブ・ザ・イヤー』となっている。同賞は全32チームから各1人が候補者として選ばれ、そのうち1名が選出される。HPにはそれぞれの候補者の活動が、それぞれ紹介映像とテキストで詳細に紹介されている。

そしてこの賞の冠スポンサーを務めているのが大手保険会社ネイションワイドだ。2014年から契約が始まり、17年には20年までの契約延長で合意している。この延長を発表した17年当時、同社のCMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)は次のように同賞のスポンサーとなる意義を述べている。

「ネイションワイドは社員や顧客など自分たちに関係する人々が生活し、仕事をしている地域に大きな関心を持っている。この賞は、ビジネス以上のつながりで地域社会を改善しようとする私たちのミッションと同じ方向を向いている。ウォルター・ペイトン賞のスポンサーとして、人々の人生を変えられる仕事をフィールド外でも行なっている選手たちにスポットライトを当てられることを誇りに思う」

保険を商品とする同社にとって、選手達が大事にしている地域、市民を守るという思いを支援する事が、お客様を守るというメッセージへとつながり、ブランドを強固なものにする大きな助けとなっているのだ。

賞を盛り上げるソーシャルキャンペーン#WMPOYChallenge

冠スポンサーとして、ネイションワイドは受賞者と候補者がそれぞれ選んだチャリティー団体に寄付する金額提供(受賞者は25万ドル、候補者は5万ドル)また、NFLと慈善福祉団体ユナイテッドウェイが取り組んでいるいじめ防止などを目的に、学校内での健全な人間関係の構築をサポートするデジタル教育素材『キャラクター・プレイブック』への普及に向けた寄付を受賞者名義で25万ドル、候補者名義で5万ドル行う資金提供もNFL、ユナイテッドウェイと共に担っている。

ただ、ネイションワイドは上記のようなよくあるスポンサーとしての活動に止まらない取り組みを実施している。それが、ソーシャルメディア上で行ったチャリティチャレンジだ。これはハッシュタグ#WMPOYChallengeと応援する同賞の候補者の名字を投稿する事で1票とし、最も票数を稼いだ選手に彼らが選んだチャリティー財団に2万5千ドル、2番目に票数を稼いだ選手には1万ドル、3位には5千ドルを送る企画。

このアワードについては、NFLのプレーオフ中継の合間に度々紹介された。そして1月20日に受賞者が発表され、ミネソタ・バイキングスのカイル・ルドルフが最も票数を多く獲得。ルドルフのハッシュタグはTwitter上で47万回使用され、このキャンペーンを通して32名の候補者の名前は170万回以上使用された。このソーシャルメディアを活用しファンを巻き込むプロモーションを行うことは、賞の認知度を高める大きな効果が見込めるもので、それは投稿の多さが端的に示しているだろう。

ネイションワイドは、このキャンペーン以外にもすでに紹介しているがオフシーズン最大のNFLイベントであるドラフトで、同賞を紹介するCMを制作するなど色々と仕掛けている。多額の費用を払ってリーグのアワードや大会の冠スポンサーになる事で満足するのではなく、そこから最大価値をどう抽出できるかを見つめ直していく上で一つ参考となる事例ではないだろうか。

ウォルター・ペイトン賞を紹介するCMについての記事はこちら