・お菓子メーカーによる国際スポーツイベントでのアンブッシュマーケティング
・大会名を想起させる言葉とイラストを使ったSNSキャンペーン
『World 〇〇〇 Finals』をSNSでユーザーから募集
サッカーの2018年ロシアW杯では、スポンサー企業によるアクティベーションだけでなく、スポンサーではない企業が便乗するアンブッシュマーケティングが数多く見られた。中でも、アメリカに本社を構えるマース社が販売する人気チョコレート菓子のスニッカーズが、フィリピンを中心とした東南アジア向けにユニークなキャンペーンを展開した。
そのキャンペーンとは『Wrong World Finals』と銘打ったもので、SNSで『World Cup Final(W杯決勝戦)』と似た様々な『World 〇〇〇 Finals』というフレーズを募集。そして集まったものを基本アイデアとしたイラストを即時に作成して公開した。
例えば、『World Cat Finals』というフレーズに対しては下記のようなイラストを投稿している。
THIS IS IT! The finals are here! But are you watching the right one? Don’t miss out because you’re hungry. Grab a Snickers before the big match.#SnickersYoureNotYouWhenYoureHungry
その他にも『World Cut Finals』『World Mop Finals』『World Coupe Finals』などに合わせたイラストを作成。また、これらはポスターとしてスポーツバーや街中に掲載され、スニッカーズの宣伝となっている。
ちなみに、どんなポスターが作成されたのかユーザーがいつでも確認できるように、全てのイラストをまとめたポートフォリオサイトも作成している。
ポートフォリオサイトはこちら
https://www.wrongworldfinals.com
W杯を自然と想起させる似た言葉と使用したイラスト
国際サッカー連盟は、テレビやスマートフォン、パブリックビューイングなどなんらかの方法でロシアW杯を大会通じて視聴した人が35億7200万人に達したと発表している。全世界の注目が集まるビッグイベントであり、企業としては自社の宣伝を行う絶好のチャンスであるが、オフィシャルスポンサーでなければ『World Cup』などの言葉を使用することはできない。そのため、アンブッシュマーケティングには直接的な言葉を使用せずW杯と関連づける思考が求められる。
その点で、このキャンペーンは『World Cup Final』と非常に似た言葉からイラストを作成しており、人々に自然とW杯を想起させることに成功している。作品はサッカーボールやW杯の優勝トロフィーがモチーフになっており、それを助長している。そして特筆すべきは、SNSでアイデアを募ると、すぐに返信することで企画へのエンゲージメントを高めている点だ。
W杯視聴者が試合を観戦しながらスナック菓子を食べるのはよくあるシーンである。しかし、数多くあるスナック菓子の中から選ばれるために差別化する必要がある。そのためにこのキャンペーンを実施することで、視聴者に「W杯を見るときはスニッカーズを食べよう」と思わせることが狙いであると考えられる。
似た言葉を使用したクリエイティブの活用や、SNSを通したユーザーとのコミュニケーションは、アンブッシュマーケティングを実施する上で重要なテクニックだ。このようなキャンペーンを考えている企業の担当者は押さえておくべき事例だろう。
アンブッシュマーケティングの詳細については、以前行われたSSJセミナーの内容を参考にしていただきたい。