・航空会社とプロスポーツチームのパートナーシップ
・シーズンチケット保有者の観戦チケットと国内線往復航空券を交換。集めたチケットは子供達を支援する非営利団体などへ寄付。
・チームは新規ファンの開拓、企業は地元社会への貢献、チケット保有者は航空券がもらえる全方良しの施策


シーズンチケット保有者のチケットを国内線往復航空券と交換

北米バスケットボールリーグNBAのロサンゼルス・レイカーズは、2011年から開始した航空会社大手、デルタ航空とのパートナーシップ延長を今年10月に発表した。それに伴い、新たに「ショータイム・シート・エクスチェンジ」と名付けたアクティベーションの取り組みが開始されている。

これは、レイカーズのシーズンチケット保有者が11月、12月、1月、3月の指定されたホームゲーム4試合の観戦チケットを、デルタ航空の国内線往復航空券と交換できるというもの。先着50枚が引き換え対象となり、集められたチケットはデルタ航空から子どもたちをサポートする非営利団体などに寄付される。シーズンチケット保有者からすれば、観戦に行けない日のチケットをチャリティに回すことでの社会貢献と、実質無料で国内旅行ができる一石二鳥だ。実際、すでに実施された11月のゲームでは、募集を開始したその日のうちに対象となる50枚の枠が全て終了した。

アメリカのプロスポーツは一般的にシーズンチケット保有者の割合が日本より多い。そのため人気チームにおいては、一般に出回るチケットが限られ単価が高騰しやすい。特に名門レイカーズは元々の人気の高さに加えて昨シーズンに加入したスーパースター、レブロン・ジェームスの存在や、現在好調なチーム状況が相まって、NBAの中でもトップクラスのプレミアチケットとなっている。しかしながら、特に平日の試合などでは空席が見られることもある。これはシーズンチケットとして売られている席に、チケット保有者が来場しないため起こる現象である。売り上げに支障がないとはいえテレビ映りも悪く、アリーナの雰囲気にも悪影響だ。数字上は満席に近いはずなのに、見るからにそれより少ない観客しかいないのは、こういう事情なのである。

チーム、シーズンチケット保有者、スポンサー企業、地域住民の全てにプラスに

この「ショータイム・シート・エクスチェンジ」はそんなチームの抱える課題を多角的に解消できる施策だ。普段チケットを入手できない子どもたちをレイカーズの試合に招待することで空席を埋められるだけでなく、これまでレイカーズと接点を持てなかった新規ファンの開拓が望める。一方デルタ航空としては地元社会へ貢献し、地域との結びつきを強めることで多くの航空会社が就航している激戦区のロサンゼルスエリアで存在感を示したい狙いだろう。富裕層であるシーズンチケットホルダーへのブランドエンゲージメントを高めながら、同時に裾野を広げる活動でもあり、まさに全方良しである。

また、単発の発信にとどまらず、継続性のある施策であることも優れたポイントといえよう。シーズンを通じて、企業・チーム・ファンが深い繋がりを持てるアクティベーションという視点は、協賛権益を有効に活用し、投資対効果を最大化する上で押さえておくべき点だ。一方通行になりがちなプロモーションの範疇を超え、ステークホルダーを巻き込み地域社会に好循環を生む「ショータイム・シート・エクスチェンジ」の発想は、日本のスポーツ界でも大いに参考にしたい事例である。