・金融会社が国民的スポーツイベントに合わせて行ったアンブッシュマーケティング
・テレビ視聴者を対象にしたARを使って賞金を競うゲームをリリース(CM時にのみプレー可能)
・商品の購買を促すCMの裏で、逆説的に無駄遣いを防ぐという意識の普及啓蒙を行う


スーパーボウルの試合間にプレーするARをゲームを開発

北米アメリカンフットボールリーグNFLの優勝決定戦、スーパーボウルはアメリカではスポーツの枠を超えた国民的なイベントの1つで、毎年1億人以上がテレビ視聴すると言われている。そして2018年2月4日に行われた試合で、ローンなどを取り扱う金融会社アライは、CM間にプレー可能なARを使ったモバイルゲーム『アライビッグセーブ』をリリースした。

このゲームは、最初に将来の家の購入費用や大学の授業料、結婚式の費用などを入力し、貯金目標を設定する。そして、CM間にゲームを起動するとAR機能によって画面上に現実風景の上に重なるようにお金が降ってくる映像が表示され、プレーヤーはそのお金をすくい集めて貯金箱に入れることでポイントを獲得する。ポイントが多いほど、合計で250,000ドル(2750万円)が当たるキャンペーンへの当選確率が上がる仕組みだ。

アライはNFL公式スポンサーではないため、スーパーボウル中に行う企画だが、名称やロゴを使用できない。しかし、スーパーボウルを‟ビッグゲーム”という言葉に置き換えて、試合当日に実施するアンブッシュマーケティングとなっている。

ゲームを通じてお金の使い方の意識改革を促す

同社が参考にした金融情報メディアGOBankingRatesの2017年の調査によると、約半数以上のアメリカ人は貯金口座に1000ドル(約11万円)以下しか預けておらず、また、6割以上が突然発生した自動車の修理費5万円や救急治療を受けた10万円の請求を支払うことができないという。

そういった状況を考慮し、アライは計画的なお金の使い方が、いかに人生において重要かを啓蒙する今回のキャンペーンを実施。スーパーボウルのCM中のみプレイ可能なゲームとしたのは、CMの大半は商品のPRと無駄な出費を促すものであるからだ。

同社のこういった啓蒙活動は今回が初めてではない。2017年にはAmazonの音声サービス、アレクサのアプリを開発した。これは無駄使いを防ぐために商品を買うには現在の給与で何時間働く必要があるかを計算して教えてくれる機能も設置されている。国民の注目が集まるスーパーボウルにおいて、単純に目を引くプロモーションを実施するのではなく、こうような啓蒙活動を行うことは他との差別化になり自社の存在をよりアピールできることにつながる。