・英国金融機関と国際的スポーツチームのパートナーシップ
・最新テクノロジーの研究やフィンテックへの投資を行う新事業を設立。企業のイノベーションマインドをアピールするために、アプリを開発。
・20年以上前に亡くなったレジェンド監督をアプリ内で再現する映像コンテンツを格納するなど、ファンの応援マインドを高めている。


次世代のファンにクラブの歴史を伝える企画

サッカーのイングランド・プレミアリーグ、リバプールFCの胸スポンサーを務めるスタンダード・チャータード銀行が、1996年に亡くなったレジェンド監督ボブ・ペイズリー氏の生誕100年を記念し、彼を最新のテクノロジーで再現する企画を実施した。

同社は2010年に胸スポンサーとなり、現在は2023年まで契約を結んでいる。そして、2018年に契約延長して以降、『StandRed(赤のままでいよう)』というキャンペーンを展開。これはリバプールのクラブカラーが赤で、社名であるStandard Charteredの一部を抜き出すとStandRedになることに由来している。

さらに、StandRedというアプリを2019年3月にリリース。これには試合のお知らせ、リバプールにちなんだアニメーションの作成、世界中のファンによる #StandRed のハッシュタグを含んだSNSの投稿をチェックできる機能などが備わっている。

ペイズリー氏の再現企画も、このキャンペーンの一環として行われた。同氏は9年間(1974年-1983年)監督を務め、当時のリーグ戦を6回、UEFAチャンピオンズリーグの前身となるヨーロピアンカップを3回制覇、在任期間中に獲得したトロフィーは20を超える名将である。次世代のファンに彼の功績を伝え、クラブの歴史を受け継いでいくこと目的としている。

同氏が、ホームスタジアムである現代のアンフィールドに彼が舞い戻ってくる様子や、現役の選手や著名なOBたちと会話する様子、再現までの舞台裏を収めた動画が制作された。また、一連の動画や彼の功績を紹介する特設サイトも設立されており、その中でアプリのPRも行われている。

最新テクノロジーを活用し銀行としての革新性をアピール

リバプールは100年以上の歴史があるクラブだ。スポンサー企業である同社は、過去の功績を伝えることでクラブを支える企業としての親近感UPやブランドイメージの向上を図ったと考えられる。

今回の取り組みやアプリの開発は、同社のビジネスに一見関係ないように見える。しかし、同社のグローバルマーケティングの担当者は、この企画によって革新性をアピールできたと言う。「銀行として、我々はイノベーションマインドを常に大切にしています。今回のアプローチは、リバプールFC及びStandRedプロジェクトのパートナーシップを広げるだけでなく、スマートテクノロジーを使用し、リバプールで最も愛される監督を次世代のファンに伝えることで、当社のイノーベーションマインドを示す機会となりました。」

“フィンテック”という言葉が広まったように、現代の銀行はテクノロジーを駆使し、顧客への最適なサービス提供が求められる。同社は、最新テクノロジーの研究やフィンテックへの投資を行う新事業『SCベンチャーズ』を2018年1月に設立。既存のビジネスを拡張するテクノロジーを開発し、より持続可能なビジネスモデルの構築に取り組んでいる。

ただ、こういった専門的な取り組みを一般の人々にPRするのは難しい。しかし、それをリバプールという世界中にファンがいて、スポーツ好きに圧倒的な知名度を誇るチームを通して行うことで可能となる。両者のパートナーシップは10年を超え、フットボールファンにとってリバプールのスポンサーであることが大きく知れ渡っている。今後もどんなアクティベーションを行っていくのか注目していきたい。