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事例紹介

チームの危機を支え、大きな露出効果に成功したフードサービス会社

写真:アフロ


・フードサービス・ホスピタリティ企業とプロスポーツチームのパートナーシップ
・猛吹雪が予想されたゲームにて、ホットドリンクを無償提供(ファンのことを思う姿勢がホスピタリティ企業としての信頼価値を高める)
・この取り組みは多くの地元メディアに取り上げられ、B2B企業としての営業活動に寄与


極寒となった屋外観戦に、ホットドリンクを無償提供

企業がスポーツチームとパートナーシップ契約を結ぶ際、一昔前であれば企業側がお金を出して自社のPRを行って終了という一方通行なケースも少なくなかった。しかし、今では企業とチームが協力して社会課題に取り組みなど、単なる広告活動に終わらないスポンサーシップのあり方が一般的になってきている。それどころかスポーツチームが何らかのトラブルに見舞われた際、積極的なサポートを行う企業も増えてきている。今回はそんな事例の1つを紹介したい。

グリーンベイ・パッカーズは、北米アメリカンフットボールリーグNFLを代表する名門でホームゲームは常に満員。シーズンチケットの予約待ちが10万人以上という大人気チームだ。ただ、カナダとの国境近くの中西部ウィスコンシン州と、冬は氷点下の気温になることが珍しくないにも関わらず本拠地ランボー・フィールドは屋外スタジアムだ。

そしてNFLのシーズンは9月から1月であることから、12月になると極寒での試合となる。そんな状況での試合観戦も、パッカーズならではの1つの伝統として多くのファンは楽しんでいるところもある。だが、そうはいってもチームは、観客の健康面に気を使う必要がある。

そんな中、昨年12月15日に行われた同地区ライバル、シカゴ・ベアーズとの伝統の一戦は猛吹雪の天気予報で、まさにチームとして防寒対策に乗り出す必要が求められるいつも以上の寒さとなった。とはいえ、8万人の観客に対するケアを自分たちだけで対応するのはかなり厳しい。

そこで手を差し伸べたのが、フードサービス&ホスピタリティマネージメントを展開するデラウェアノース社だ。パッカーズとパートナーシップを結ぶ同社は、ホームゲームにおいてレストランや売店など様々なフートサービスの運営を担当している。

売り上げ減になっても得られる大きな告知効果とイメージアップ

デラウェアノースはこの日、パッカーズと共同で観客に無料でホットチョコレート、もしくはホットサイダーを1人につき2杯まで提供した。パッカーズにとっては観客の健康面を考えて、この取り組みを実施しないといけない。しかし、同社の場合は自然とホットドリンクの大幅な売上が見込める中で、この取り組みをサポートしたのは金銭的にいうと明らかなマイナスだ。

ただ、その一方でこのマイナスを補って余りある効果を得たことも事実だろう。同社のサービスはB to Bがメインであることから業界の専門メディア以外で露出することはなく、一般の人々の認知度は薄い。しかし、今回の取り組みはスポーツ系を筆頭にウィスコンシンの多くの地元メディアに取り上げられており、同社の露出は大きなものとなった。

また、この取り組みはポシティブにとらえられるものであり、デラウェアノースのブランドイメージは大きく向上した。それはこれから、同社がウィスコンシンにおいて営業活動を行なっていく上で無形のプラス効果をもたらすだろう。目先の利益も大事ではあるが、それ以上にせっかく関係が生まれたチームを支える姿勢を示すことが、結果的により効果的に認知度、好感度を高めることに繋がるはずだ。

ライター:鈴木栄一

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