・プロアイスホッケーリーグに新規参入するチームと地元に本拠地を置く航空会社のパートナーシップ
・公式エアラインとファンディングパートナーになったことに加え、現在改修中のシアトルセンターの正面入り口の命名権を取得
・契約発表をその都市で働く全社員が集まる社員総会で実施。社員のモチベーションアップを狙う


2021年から新規参入するシアトル拠点のNHLチームのスポンサーに

アメリカの北西部最大の都市であるシアトルには、アメリカ4大プロスポーツの内、アメリカンフットボールのNFL(シアトル・シーホークス)、プロ野球のMLB(シアトル・マリナーズ)のフランチャイズがある。しかし、バスケットボールのNBAはシアトル・スーパーソニックスが2008年を最後にオクラホマシティへと移転、アイスホッケーのNHLに関してはずっとチーム不在で、10年以上に渡り、屋内の主要プロスポーツがいない状況が続いていた。

そんな中、2021-22シーズンからはシアトルにNHLの新チームが誕生する。チーム始動に向け、1月中旬に発表されたのがアラスカ航空とのパートナーシップ契約の締結だ。同社は、新チームの公式エアラインとファンディングパートナーとなる。さらに、チームが本拠地とするため現在改修中のシアトルセンターにおいて、正面入り口の命名権を取得した。公開されている新アリーナのイメージ図を見ると、入り口には大きく『ALASKA AIRLINES ATRIUM』と掲出されており、来場者の視認性は抜群だ。一方、シアトルの新チームにとっては地元を代表する有名企業がパートナーとなってくれることは、財政面だけでなく地域密着の上で大きな意味がある。

同社は西海岸を中心に全米各地にまたがって100以上の都市、カナダ、メキシコ、コスタリカにも就航しているが、本社はシアトルにある。そして、スポーツスポンサーシップでの大型契約は、2015年に同じくシアトルにキャンパスのあるワシントン大学アメリカンフットボール部の本拠地の命名権に次ぐものだ。当時、地元メディアは契約の内容について10年総額4,100万ドル(約41億8,000万円)と報じ、球場の名前は旧名称のハスキースタジアムを残し、『Alaska Airlines Field at Husky Stadium』となっている。

社員が集う大規模ミーティングで今回の契約発表と、社内向けの効果も考える

今回のパートナーシップの内容自体は、極めてオードソックスなものだ。ただ、特徴的だったのはこの契約発表を、シアトルで働く全職員が集まるミーティングで行なったこと。また、会見には今も会社内で作ったアイスホッケーチームでプレーしている現役のパイロット6名がスティックを持って登場し、会場を盛り上げた。

シアトルのスポーツファンにとっては、10年以上に渡って秋から春にかけて観戦する屋内主要プロスポーツがなく物足りなさを感じていた。それだけに、今回のNHLチームは大きな注目と期待を受けての誕生となる。エクスパンションでの新チームだけに未知数な部分もあるが、創設当初から支援することはアラスカ航空にとって、自分たちの地域密着をアピールできる絶好の機会となる。

そんな地元が楽しみにしているプロチームを、自分たちの会社がサポートしていることに好意的な反応を示す従業員は少なくない。そして、この大きな発表をホテルのイベントルームなどで対外向けに盛大に行うのではなく、社員ミーティングで行なったことは、社内の士気高揚につながる施策だ。

一般的にスポンサーシップの主たる目的は、試合会場での広告やチームと一緒に何らかの活動を行うことによるPRといった外向けの活動だ。だが、スポーツチームの持つ人気、ブランド価値は、社内に向けても十分に活用できることを今回のアラスカ航空は示してくれている。