・ディズニーによるスーパーボウルでのスポンサーシップアクティベーション
・試合終了直後のインタビューで、勝利チームのMVPが「I’m going to Disney World!」と言うのが習慣。(わざわざ言わせるのではなく、選手も30年以上も続く定番企画として言っている=長年スポンサーをすることの意義)
・NPO団体と組み、試合と翌日の優勝パレードに難病の子供たちを招待。まさに”夢”のようなひと時を一緒に過ごす。
・最も国民の注目度の上がるタイミングで、ヒーローと共に行う子供への慈善活動がメディアに取り上げられることで、イメージ向上にも繋がる。


“ディズニーワールドへ行く”ことをヒーローの象徴に

今年の2月2日に行われた北米アメリカンフットボールNFLの決勝、スーパーボウルではカンザスシティ・チーフスが勝利した。そして史上最年少でこの試合のMVPを受賞したチーフスのパトリック・ホームズは、試合翌日フロリダのディズニーワールドで盛大な祝賀パレードに参加した。このパレードはMVP選手が毎年恒例で参加するもので、実は7年前に当時、高校生だったマホームズは「スーパーボウルで勝って“ディズニーワールドに行く!”と言うのは最高な気分だろうな」とツイートしていて、まさに夢を現実にしたことも話題を呼んでいる。

ディズニーがスーパーボウルのスポンサーとして、このキャンペーンを開始したのは1987年となる。それ以降、アメリカで最も人気のあるスポーツで最高の栄誉を手にした選手が試合終了直後の歓喜の中で「スーパーボウルで勝利しMVPに輝いた今、次に何をしたいですか?」というインタビューに対して「I’m going to Disney World!(ディズニーワールドに行く!)」と答えるのがお決まりになっている。

この「I’m going to Disney World!」のフレーズはフットボールだけでなく北米プロバスケットボールのNBAファイナルを制したマイケル・ジョーダンやマジック・ジョンソンなど他の競技のスーパースター達も口にしてきた言葉で、ディズニーコマーシャルのキャッチコピーであると同時に、30年以上の年月をかけて“大きなことを成し遂げたヒーローの象徴”として定着してきた。

最適なタイミングでPRすることで、プロモーション効果を最大化

今回、ディズニーは難病のこどもたちの夢を叶える活動をしているボランティア団体、メイク・ア・ウィッシュと組み、18名の子供達を試合と翌日のパレードに招待した。彼らはマホームズと交流したり、一緒にスターウォーズをテーマにした最新アトラクションを楽しむなど、まさに夢のような時間を過ごした。またこれまでも約40年にわたり、年間10,000人以上の子供の夢をメイク・ア・ウィッシュを通して叶えてきたが、今年のパレードの直前にはマホームズの栄誉を記念して同団体に100万ドルの寄付を行うことが併せて発表された。

MVPパレードを行うことは、当然ながら普段ディズニーワールドに関心のないフットボールファンにリーチする絶好の機会であるが、それに加えこうした一連の取り組みからはディズニーの緻密かつ巧妙なメディア戦略がうかがえる。試合の話題が最も盛り上がる試合翌日、国民の注目が集まるパレードには多くのメディアが取材にやってくる。そこでテーマパークの最新アトラクションを選手に体験させ、その魅力をアピールすれば絶大な広告宣伝効果が期待できる。さらに大規模な寄付を含む子供達への慈善活動の内容も注目選手と絡めることで露出が増え、同社のイメージ向上が図れるというわけだ。

もちろん、こうした社会貢献に協力することは、選手本人およびNFLの好感度アップにも寄与するだろう。1つ1つの取り組みを単発で行うのではなく、最適なタイミングですべての点を線で結び、その発信力を最大化するプロモーション戦略は、多くの企業が見習うべきところだ。