・サウスカロライナ大学とプロスポーツリーグとのパートナーシップ
・大学側はMLSの現役選手、元選手、eスポーツ選手、ユース選手、スタッフにオンライン教育プログラムを提供。リーグ側は学生へインターンシップの場を提供。
・大学は新たに開始したオンラインプログラムの認知度を高め、学生へスポーツビジネスを本格的に学ぶ場を提供することで他大学との差別化に繋がる。
現役、OB、ユースリーグの選手たちが、オンラインプログラムを履修可能に
コロナ禍によって言うまでもなくプロスポーツ界は、経済的に大きなダメージを被った。当たり前だが、それは各チームだけでなく選手たちにも影響を及ぼしており、コロナ前に見込んでいたものと比べると少ない年俸しか得られていない選手は少なくないだろう。
いつ観客制限がなくなり、スポーツ観戦の日常が戻ってくるのかは不透明な今、まさにプロスポーツ選手にとってセカンドキャリアの準備をより入念に行うことが求められている。そんな情勢の中、北米プロサッカーリーグMLSはサウスカロライナ大とパートナーシップ契約を結んだ。
MLSの公式HPに記載されたリリースによると、サウスカロライナ大はMLSの公式教育パートナーとなり、現役選手に加え元選手、さらにMLSが主催するeスポーツの選手たちが、『カロライナ・オンライン』と名付けた同大のオンライン授業プログラムを履修することができる。また、アスリートのセカンドキャリアに対応したカリキュラムを組み学位を取得できるプログラムを提供する。
また、現役のプロ選手だけでなく、MLSアカデミー、ユース世代のリーグMLS NEXTでプレーする選手にも同プログラムを提供。プロ選手を目指すと共にプロになれなかった時、よりスムーズに他の道へと進めるためのサポートも実施する。また、各チームとリーグの職員が受講して、ビジネススキルの向上のための知見を得ることも可能だ。
We're proud to announce that we are now the official education partner for Major League Soccer (@MLS).
🤝 Learn more about this historic and exciting partnership. ➡️ https://t.co/xjPfE9tkYU pic.twitter.com/uF1ZTLwgIk
— University of South Carolina (@UofSC) April 14, 2021
オンライン授業の重要性が高まっている中、ぴったりのタイミングでの契約締結
NFL、MLB、NBAといった他の北米プロスポーツリーグにおいては、トップクラスの年俸は1年30億、40億で、10億円を貰う選手も珍しくない。しかし、MLSの場合、選手会がHPで公表しているデータを見ると、2019年シーズンのトップは当時LAギャラクシーに在籍していたズラタン・イブラヒモビッチの720万ドル(約7億8,000万円)で、10位は250万ドル(約2億7,000万円)と、上記のリーグに比べると年俸は大きく劣る。それだけに、このような教育プログラム提供し、引退後を考えた手厚いサポートを行うことは、学生の頃は複数競技が当たり前のアメリカにあってより多くの有望選手がサッカーを選ぶ1つの動機にもなり得る。そして何よりも長期的な視野に立った選手の環境向上に大きく寄与するものだ。
一方、サウスカロライナ大にとっても得るものが多い。この契約締結により、同大の生徒たちはMLSと関連する様々なステークホルダーでインターンシップを行える機会が提供される。また、MLS関係者の講演も実施される予定など、将来スポーツビジネスで働きたい学生にとっては貴重な学びだ。
また、何よりも、現役のプロスポーツ選手たちが受講することで今年4月から開始した『カロライナ・オンライン』の認知度を大きく高めることが期待される。新型コロナウィルス感染対策もあってオンライン授業の重要性はどんどん増している。このパートナーシップを通してより多くの人に、同プログラムへの興味を持ってもらい履修者を増やすのは、同大の経営面においても大きな意味を持つものだ。
今回のパートナーシップは、適切なタイミングで需要が高まっている商品のPRを実施した好例と言える。