・大手飲料メーカーと黒人の多い大学リーグとのパートナーシップ
・3年間大学リーグのアメリカンフットボール、バスケットボールでは公式ドリンクパートナーとして飲料を提供
・5年間各大学と協力して人種面における機会平等、黒人の才能育成のため5年間で4億ドル(約440億円)の投資を行う。さらに、各大学の学生アスリートを卒業後に雇用する。
ペプシ、歴史的黒人大学群のSWACとパートナーシップ
昨年アメリカで大きな社会運動となった人種差別に抗議する活動ブラック・ライブス・マター(BLM)に代表されるように今、世界はこれまでになくあらゆる差別解消にむけた意識が高まっている。それは企業にとっても無視できないものであり、これからはCSR、SDGsと共に、社会構造的な差別解消に向けどんな取り組みを行なっていくのかがブランドイメージ、企業価値に少なくない影響を及ぼしていくだろう。
そういった背景を踏まえて紹介したいのが、ペプシとアメリカ大学スポーツNCAAに属するサウスウェスタン・アスレチック・カンファレンス(SWAC)で合意したパートナーシップだ。SWACはHBCUと呼ばれる歴史的黒人大学(Historically Black Colleges and Universities)で構成されているカンファレンスとなる。HBCUは今よりも人種差別が色濃かった1960年代にアフリカ系アメリカ人向けに誕生した大学群だ。現在では人種による制限はないが、学生の多くはその成り立ちもあってアフリカ系アメリカ人が多い。
今回の契約は3年間でペプシは、SWACのアメリカンフットボール、バスケットボールにおいてソフトドリンク、エネジードリンク、水、ティー、ジュースなどを提供する公式ドリンクパートナーとなる
また、ペプシはHBCUの各大学と協力し、人種面における機会平等、黒人の才能育成のため5年間で4億ドル(約440億円)の投資を行うことも発表。さらにこの活動の一環としてSWACに所属する各大学の学生アスリートを卒業後に雇用することを約束している。
SWAC Announces Partnership PepsiCo Beverages North America #BuildingChampionsForLife https://t.co/oWohhEFG8Q
— Southwestern Athletic Conference (@theswac) April 6, 2021
スポンサーシップで何を訴えたいのか、適材適所の大切さ
SWACのアメリカンフットボール、バスケットボールはNCAAの数あるカンファレンスの中で上位ではなく、BIG 10、PAC12、ACCなど有名カンファレンスのように試合が全米放送されることはない。ブランドの露出効果だけを考えるなど、SWACはペプシにとって理想的なパートナーではないだろう。
ただ、ペプシが人種差別問題の改善に対する真剣さを示す対象としては有名カンファレンスではなく、SWACこそがHBCUという背景も踏まえてより適している。また、卒業した学生アスリートの雇用は文武両道のサポートにもつながり、才能育成を自ら率先して取り組んでいることの証明となる。
当然だが企業がスポンサーシップを行う目的は、自社名や商品の認知度を向上させるためだけではない。大きな露出力を持ったチームやリーグが、全てのアクティベーションにとって最適なパートナーではない、今回のペプシは、適材適所の大切さを改めて実感させられる事例だ。