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インタビュー

アイリスオーヤマ、日本サッカー協会とのパートナーシップで目指す効果とは(前編)

提供:JFA

7月下旬、生活用品の製造卸のアイリスオーヤマが、日本サッカー協会(JFA)と普及・育成年代からシニア世代まで様々な事業を支援するJFA Youth & Development Programme(JYD)パートナーシップ契約を締結した。また人工芝、LED照明などスポーツ施設市場への積極的参入を3月に発表している同社は、より多くの人々が芝生の上でサッカーを楽しめるための環境整備を目指すJFAグリーンプロジェクトへのサポートにも取り組む。

アイリスオーヤマがこの大規模なパートナーシップにどこに魅力を感じ、どんな効果を目指しているのか。同社のスポーツ事業を統括する石田敬取締役に話を伺った。すでにJリーグのベガルタ仙台、プロ野球の東北楽天ゴールデンイーグルスとのスポンサーシップなどで確固たる効果を挙げている同社の考えは、これからスポーツとの関わりを考えている企業の大きな参考となるものだ。

――まず、御社とサッカーとの関わりを教えてください。

サッカーとの出会いはベガルタ仙台です。宮城県の地元企業として2000年から応援しており、今年で19年目となります。Jリーグの各チームの胸スポンサーを見ていると日本を代表する企業が多く、弊社もスポーツ振興を通じて東北・宮城を元気にしたいという想いで、現在は胸スポンサーとして応援しています。

ベガルタ仙台は、サッカーを通じて東日本大震災の復興支援に取り組んでいます。2011 年のシーズンに 4 位。そして翌年(2012 年)には、準優勝という功績をおさめたことで、被災地に明るいニュースを届け、復興にむけた希望となりました。また、現在も被災地でのサッカー教室や選手の被災地訪問を続けるなど、復興支援を風化させない取り組みも行っています。弊社もベガルタ仙台のスポンサー活動を継続し、宮城県角田市で毎年開催している「アイリス祭」では、選手による「小学生サッカー教室」を開催するなど、地域の子ども達がサッカーに触れる機会を一緒に推進しています。

――JFAと一緒にJYDプログラムをするにあたり、ビジネス面においてどんな効果を期待されていますか。

弊社は、サッカー場への人工芝や設備の導入においてお客様のニーズを顕在化させるためにもメーカーダイレクトの営業をしています。そして、それぞれのお客様がどんなものを求めているのか1つ1つ聞き、プレー環境改善にむけたトータルケア提案をしていきたいと考えています。ただ、営業を行うには現状では決定権が行政なのか学校なのか、サッカーチームなのか、誰が持っているのか複雑で見えにくい課題があります。そんな中でも、全国各地のサッカーチームは基本的にJFA に登録されています。弊社は地域密着で各都道府県 65 箇所に営業所があるので、全国各地でJFA さんの協力を経てサッカーをきっかけとしてチャンスを作ることができるようになります。

また、グリーンプロジェクトは必ずしもサッカーだけでなく、芝生化で子供達に安全で快適な外遊びを促し、また、人々が集うコミュニティーの場を創出するなど、地域貢献にもつながっています。

会社として、売り上げの実績を重視していますが、このプロジェクトの理念に共感しました。今までは東北だけであったのが、JFA さんとの取り組みで全国にも我々のスポーツ支援を通しての地域貢献をしていきたい、というメッセージを広げられるのではないかと考えました。

――スポーツ施設への導入はビジネスの種類でいえば、BtoBだと思います。その中で、今回のパートナーシップによる認知度の面についてどのような効果を期待しますか。

家電製品など一般消費者向けの製品であれば、これまでの不特定多数の人をターゲットにした「マスマーケティング」でよかったのですが、スポーツ施設の製品は、ターゲットが明確です。そのため、JYD のイベントなど通じて市場特性の理解と把握を短時間でかつ正確にできる「ターゲットマーケティング」でリーチを高めていきたいと考えています。

また、ベガルタ仙台を支援することで、そこからサッカーを取り巻く関係者を紹介してもらうことができました。これを全国に広げることができる可能性があります。スポーツ全体をみても絆はとても深いと感じます。ベガルタ仙台、楽天イーグルス、その他のチームもそうですが、スポンサー懇親会や主催イベントに参加すると、一緒に応援している仲間なのですぐ共感する関係になります。「じゃあ、来週一回来てください」となりやすいです。その先の契約成立には営業の努力が影響しますが、まずは入口を探すのに時間がかかるところでリードタイムが短く済みます。これまでは BtoC でしたので良い物を作れば売れましたが、BtoB は相対取引でどんなお客様に会えるかが重要です。5 か年計画くらいで一歩一歩ステップを踏み事業化していき、スポンサーシップで露出して広告代を払うだけではなく、サッカーを取り巻く事業にしていくという考え方です。

後編インタビューはこちらから

ライター:鈴木栄一

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