・NFLがコロナ禍によって、オンラインでのバーチャルドラフトに変更
・毎年、コミッショナーが各チームの指名選手の名を読み上げる際に、ファンがブーイングを浴びせるという習慣がある
・これに着目し、Twitterでファン自身がブーイングをしている動画をハッシュタグ投稿すると、バドライトが新型コロナウィルス対策に寄付する(1投稿につき1ドル、最大で50万ドル)と施策を実施
ファンからブーイング映像を集める取り組みで注目を集める
新型コロナウィルス感染拡大によって、アメリカではあらゆるスポーツイベントが中止している状況だ。それは試合だけに限ったことではなく、北米アメリカンフットボールリーグNFLにおいてオフシーズン最大のイベントであるドラフトも大きな影響を受けた。
本来なら今年のNFLドラフトは、新シーズンにオークランドからのフランチャイズ移転で誕生するラスベガス・レイダースの本拠地ラスベガスで初の開催となるところだった。観光名所として有名なベラージオホテル前の噴水広場が会場となり、大きな盛り上がりが期待されていた。 しかし、当然のようにコロナ禍によってラスベガスでの開催は中止となりオンラインでのバーチャルドラフトとなった。
本来なら会場でコミッショナーのロジャー・グッデルが指名選手の名前を呼ぶのだが、今年は自宅の地下室で行われた。そして、上位指名された選手たちは、それぞれの自宅などで取材に答える形式になるなど、 いつもに比べると華やかさに欠けたドラフトであったが、それでも貴重なスポーツイベントとして注目を集めた。NFLによると計3日間行われる内、1巡指名が行われメインイベントとなる初日の平均視聴者数は1,560万人で昨年から37%アップの歴代最多となった。
The NFL Draft will be without an important tradition. And we just can't let that stand. Record your boos then post & tag @budlight and #BooTheCommish. We’ll deliver the boos to the Draft, and for each #BootheCommish thru April 25, we’ll donate $1 to NFL Draft-a-Thon up to $500K. pic.twitter.com/fnvcYDpZPW
— Bud Light (@budlight) April 20, 2020
NFLの伝統維持に一役買ったことでファンの好感度アップ
このように大きなインパクトをもたらしたドラフトで、効果的なアクティベーションを行なったのがビールブランドの『バドライト』だ。ドラフトでは各チームの指名を読み上げるためコミッショナーが会場のステージに現れると、観客がブーイングで出迎えるのが定番となっている。ただ、オンライン開催となったことで、それもなくなると思われていた。
しかし、そこでバドライトは、ドラフト期間中に@budlightに#BooTheCommish(コミッショナーにブーイング)とのハッシュタグをつけ、ブーイングをしている動画をTwitterに投稿してもらうキャンペーンを実施。これは1つの投稿につき1ドル、最大で50万ドルを新型コロナウィルス対策に寄付するものだ。
この企画を行うにあたっては、NFLも積極的に協力。実際にコミッショナーが出演し「今は、何よりも伝統が大切だ」と、ブーイングを呼びかけるプロモ映像が公開された。また、ドラフト当日にはオンライン会議アプリのZoomを使って集められた多くのファンがブーイングをしているスクリーンの前でコミッショナーが指名を行う演出も行われた。
今回、バドライトは、NFLドラフトに絡めることでコロナ支援という自分たちの社会貢献活動の大きなアピールに成功した。さらにブーイングを呼びかけるというインパクトのある取り組みが各メディアに取り上げられることでドラフトの注目度を高めたことは、結果的にスポンサーを務める自分たちの露出増にもつながっている。また、コロナ禍によって失われる可能性のあった伝統の維持に一役買ったことで、スポーツファンからの好感度が高まるなど、複合的な効果が得られている。
スポーツを含めたライブイベントがいつ通常モードとなるのかは、まだまだ不透明な状況が続いている。しかし、色々な制限がある中でも、ファンの心に響くアクティベーションを行うことは可能だと、今回のバドライトの事例は示している。