スポーツ観戦において試合の熱量や会場の一体感を味わうことが、その醍醐味だ。しかし、昨年から新型コロナウィルスの感染拡大により、無観客あるいは収容人数が制限されるなど本来の観戦体験を享受できない。当然、選手とファンが直接対面できるイベントの実施も困難な状況だ。これまで、スタジアムに多くの人が集まることからスポンサーメニューとして定番であった試合会場でのサンプリングや、冠試合の開催、スタジアム看板への露出等、現在はその価値を十分に発揮することができない。そこで、デジタルでアクティベーションを完結することが重要となっている。

数か月後に迫った東京五輪でもコロナ禍の鎮静化にはまだ時間が必要であることから、集客は制限されることが予想され、この状況はしばらく変わらないであろう。そこで今回はソーシャルメディアを活用したアクティベーション事例を解説していく。

■SNSを活用したアクティベーション事例

・プレゼントキャンペーン
SNSを活用したアクティベーションとして定番なのが指定のハッシュタグをつけて投稿した人に景品をプレゼントするものだ。SNS上では日々多くのキャンペーンが行われているため、景品選びや企業への好感を醸成する仕組みづくりが重要となる。

それが上手かったのが、コロナ禍で一時中断していたMLB(北米プロ野球リーグ)が無観客で再開された際に行われたキャンペーンだ。MLBスポンサーのバドライトが行ったもので、指定するハッシュタグをつけて投稿した人に抽選でホームランボールをプレゼントした。現地観戦だからこそ得られたホームランボールをキャッチするチャンスをSNS上で提供した形だ。

・アスリートからのSNS投稿
自社サービスや商品を世の中に広げていくために、それを誰から伝えてもらうかは非常に重要な要素だ。企業側が発信する広告メッセージよりも、消費者にとって信頼する人からの発信の方が共感を得やすい。そこで、メッセージを届けたいターゲットをフォロワーに抱えるアスリートを選び、その人を介してメッセージを伝えてもらうことで共感の獲得やブランドの浸透、情報の拡散が期待できる。それが成功した事例がこちらの二つだ。

一つ目はナイキが2020年3月に行った事例だ。多くの地域で外出が制限され自由にスポーツができない状況になった際に、家でのワークアウトを推進するために「もしあなたが世界中の人々のためにプレーすることを夢見ていたならば、今がチャンスだ」とSNSでメッセージを発信した。これは、同時に同社の契約アスリート達も自身のSNSに投稿しており、より強いメッセージとなり世の中に広がった。

二つ目はバドワイザーがメッシの偉業達成を祝うために行ったプロモーション。メッシが同一チームで最多得点の世界記録644ゴールの達成をしたのを記念し、644本の特注ボトルを製作。これを得点を奪われたゴールキーパー達に自分が決められたゴールの数字がプリントされたビールを送った。この後の広げ方も計算されており、受け取ったキーパー達もSNSに祝福メッセージとビールを投稿している。多くのトップアスリートを巻き込むことに成功した事例だ。


・チャリティキャンペーン
企業が社会貢献の一環として慈善団体などへ寄付を行うにあたり、SNSを活用してユーザー参加型のチャリティキャンペーンの実施が増えている。これは社会課題に絡めたキャンペーンハッシュタグを作成し、そのハッシュタグをユーザーに投稿してもらうことで1投稿あたり決められた額を寄付するものだ。このメリットは二つあり、一つは解決したい社会課題そのものが認知されていない場合が多くあり、SNSキャンペーンにすることで目に留まる機会を増やすことができる。もう一つは社会貢献活動を実施していることをPRできること。社会問題への意識が高いとされるミレニアム世代の若年層に対してのコミュニケーションとして有効だ。このチャリティーキャンペーンにスポーツの知名度、人気度を絡めることで、この二つのメリットを最大限に高めることが可能となる。

昨年5月のNFLドラフトでユニークなチャリティーキャンペーンが行われた。通常ドラフトは有観客で行われ、ステージにコミッショナーが登場する際に観客がブーイングで迎えることが恒例行事だったが今回はオンライン開催となりできなくなってしまった。そこで、スポンサーのバドライトがブーイングをしている動画をTwitterに投稿してもらうキャンペーンを実施。1投稿につき1ドルがコロナ対策に寄付され、投稿されたブーイング動画はドラフト中に配信された。この企画自体が話題となりメディアにも取り上げる結果に。ファンにとってはイベントを楽しみながらチャリティにも貢献でき、ファンとのコミュニケーションの取り方が非常に上手い事例だ。

チャリティキャンペーンの事例


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