メジャーリーグの大谷翔平選手やJリーグの三浦知良選手など、国内外の超一流アスリートとのパートナーシップを次々と展開する寝具メーカーの東京西川。今回は同社執行役員の竹内雅彦氏に、スポーツスポンサーシップの意義やその効果についてお聞きする。前編では、スポーツコンテンツとパートナーシップを組むことになった背景を中心にお話を伺った。

“価値観”を発信するためにアスリートを起用

――貴社とスポーツコンテンツとの最初の接点を教えてください。

王貞治さんと1980年からキャラクター契約を結び、その後王さんとハンク・アーロン氏が主宰する一般財団法人「世界少年野球推進財団」の立ち上げ時(1992年)から、「野球を通じて子供たちの夢を叶えよう」という思いに賛同し、同団体の活動をサポートさせていただいております。また、当社チェーンの寝具専門店グループでも、全国の野球少年を招いて「西川チェーン少年野球大会」を約30年前より開催しています。当社がスポーツにスポットを当てるようになったのはここ数年と思われていますが、実はずいぶん前からスポーツとの関わり合いはあったということです。

――最近ではトップアスリートの広告起用が注目を浴びていますが、そのきっかけは。

2006年、当社創業440周年の際に現社長が就任し、これまでの事業を大きく見直すことになりました。それまで寝具は、「肩こりがあるから枕を替える」「腰痛があるからマットレスを替える」といったように、マイナスを補完する目的で購入されることがほとんどでした。しかし、440周年を機に「いい眠りがパフォーマンスを上げる」という“+α”のアプローチに転換、つまり、「寝る(休む)ことは悪」といった不眠不休の美学が存在する日本社会に新たな価値観を発信していこうということになったのです。

――その「新たな価値観」の発信に適していたのが、アスリートだったということですね。

はい。睡眠によってパフォーマンスが上がることをわかりやすく世の中に発信するには、アスリートをサポートさせていただくことが非常に適していると私たちは考えました。当社では日本睡眠科学研究所を立ち上げており、寝具がパフォーマンスアップにつながることを科学的に立証しています。その確かなエビデンスを活用して、東京五輪で金メダリストの誕生をサポートしよう、夢を持った志の高いアスリートをどんどん応援していこうとなったわけです。

西川産業株式会社 執行役員:竹内雅彦氏

――その「新たな価値観」を届けるターゲットについて教えてください。

これまで長らく寝具の購入者は女性がメインでしたが、440周年を機に開発した「エアー」シリーズに関しては、仕事でのパフォーマンスアップを目指すビジネスマンに向けて「いい睡眠がいい明日を迎える」というメッセージを発信しています。この点においても、常にパフォーマンスアップを目指すアスリートの起用が最も響くと考えました。特に三浦知良選手の広告起用後は30代、40代の男性の共感を得て、その層の顧客が一気に増えました。

――パートナーシップを組むアスリートはどのように選択していますか。

まずは当社が考える睡眠の重要性にご納得いただいた上で、商品のよさを理解していただくこと。それが第一です。どんな一流アスリートでもいきなり契約から入ることはありません。商品をお試しいただく中で、当社として打ち出したい内容、ご本人が目指す夢やビジョンを共有できて初めて契約に至ります。最初にお会いしてから契約まで、だいたい半年から1年の時間を要します。

――その競技のトップ・オブ・トップのアスリートと組まれている印象がありますが。

戦略的にトップ選手と契約しているわけではないのですが、やはりトップであればあるほど睡眠の価値を本気で考えています。その結果として当社との間にいいコミュニケーションが生まれ、それが広告につながっているということです。もちろん、契約できる選手は一部なので、世の中への伝わりやすさを考えた上でトップ選手を起用したいというこちらの思惑もあります。しかし、ただ有名だから起用するということはなく、お互いの「共感」が第一だと考えています。

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