皆さんもご存知の通り、全米オープンテニス2018は大坂なおみ選手の優勝(女子シングルス)で日本のテニス界に新たな歴史を刻んだ。今年は8月27日(月)から9月9日(日)まで約2週間に渡り開催された全米オープンは、国際テニス連盟が定めるグランドスラム(4大大会)の一つで、観客動員数、賞金総額はテニス競技大会で最大と言われている。毎年ニューヨーク郊外のクイーンズにある「USTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センター」で行われており、今年で記念すべき50回目を迎えた。

全米オープンの経済効果

2週間に渡り開催されるこのスポーツイベントには、毎年70万人前後の来場者が訪れ、ニューヨーク市に900億円もの経済効果を生んでいる。アメリカ最大のスポーツの祭典と呼ばれるスーパーボール(NFLの決勝戦)における経済効果は、約350億円であるため、この数字と比較しても、全米オープンは巨大なスポーツイベントであると言える。また、全米オープンを運営する全米テニス協会(USTA)のチケット売上、スポンサー料、放映権などによる総収入も去年約330億円以上となり、こちらも年々数字を伸ばしている。
<過去7年間の全米オープン総収入> ※2018年は予測値

(参考:https://www.forbes.com/feature/usopen/#27bdccb213d8

全米オープンの観客の特徴

テニスは世界中で普及しているスポーツの一つであり、全米オープンにも他国やニューヨーク市以外の地域から多くの観客が来場しているが、その観客に関しても興味深いデータが明らかになっている。Forbes JAPANによると、2014年の全米オープンの観客の平均世帯収入は16万1,000ドル(約2,000万円)、80%以上が大卒以上の経歴を持っており、非常に裕福で教養のある観客が集まっているという。

そうした観客の特徴を踏まえて、全米オープンでは高所得層をターゲットにしたスポンサー企業が名を連ねている。以下が2018年全米オープンのスポンサー、サプライヤー一覧である。

オフィシャルスポンサー
American Express
アメリカン・エキスプレス
Chase
チェース
Emirates Airline
エミレーツ航空
J.P. Morgan
J.P.モルガン
Deloitte
デロイト
evian
エビアン
IBM
アイ・ビー・エム
Mercedes-Benz
メルセデス・ベンツ
Polo Ralph Lauren
ポロ・ラルフローレン
Rolex
ロレックス
Spectrum
スペクトラム
Westin Hotels & Resorts
ウェスティンホテルアンドリゾート

 

オフィシャルサプライヤー
Grey Goose
グレイ・グース
Heineken
ハイネケン
Lavazza
ラバッツァ
Mount Sinai Health System
マウント・サイナイ・ヘルス・システム
The New York Times
ニューヨークタイムズ
Ticketmaster
チケットマスター
Tiffany & Co.
ティファニー
Wilson
ウィルソン

これらのスポンサーが、観客の趣味、嗜好などをどう捉えて、現地でのアクティベーション活動を行っているのか、以下より紹介していく。

大会前プレイベントの開催

スポンサーのアクティベーション活動は大会開幕前から行われている。
全米オープンが開幕する前週の8/22(水)と8/23(木)に「US Open Experience」というプレイベントがマンハッタンで行われた。ブルックフィールド・プレースという高級デパートの外で行われ、開催場所に関しても富裕層が多い観客を意識していることが伺える。プレイベントが行われるのは今年で2回目であり、ここでは有名選手のサイン会や、レジェンドによるテニス大会、ライブ音楽などファンを楽しませるイベントを無料で体験することができ、スポンサーによるアクティベーション活動もこの場で行われている。

プレイベント会場入口

プレイベントでのアクティベーション活動は主に、各企業ブースでの写真撮影が主な取り組みであった。派手な写真ブースで撮影を行い、その写真がSNSなどで投稿されることにより、大会を盛り上げる効果とスポンサーの企業名の露出を狙うことができる。中でもエビアンは、SNSでハッシュタグをつけて投稿することで、全米オープンの決勝戦のチケットが当たる抽選に応募できるキャンペーンを行っていた。

Amex

Chase

evian

このように大会が始まる前からスポンサーによるアクティベーションは盛んに行われており、主催側としても、スポンサーと一丸となって大会の開催に向け盛り上げることができていた。去年に引き続き2回目の開催ということで、来年もさらにグレードアップしたプレイベントが行われるのではないかと期待している。
後編の記事では、大会期間中に本会場である「USTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センター」で行われていたスポンサーアクティベーションを紹介していく。

後編はこちらから